今回はある施設の人の混雑度を可視化するために、人数カウント用のネットワークカメラを選定しました。
子供やペット、年配の方の見守り需要が高まっていることもあり、ネットワークカメラは市場競争が進んで様々な製品が販売されています。
近年では感染拡大の影響を受けて、人数カウントAIを標準搭載したネットワークカメラも出てきています。
今回は3つのメーカーのネットワークを比較検討した結果をまとめていきます。
結論:Tapo C210 by TP-Linkを選定
今回選定した機器は、TP-Linkが提供しているネットワークカメラTapo C210です。
Tapo C210を選んだ理由としては4500円(22/9/7当時)と安価であり、後述するRTSPという外部からストリーミング動画を取得可能な通信方式に対応しているため、他システムと組み合わせて人数カウントができる点がポイントになります。
特に他システム連携を重視しており、人数カウント以外のことを行いたくなった場合でもTapo C210であれば高い拡張性を持たせられると考えています。
ネットワークカメラの選定
ネットワークカメラには様々な種類がありますが、安くて多機能な万能なカメラは見当たりませんでした。
ということで、今回は以下3つの選定ポイントを意識してカメラの選定を行いました。
- 購入費が5000円程度の安価なカメラであること
- 維持費がかからないこと
- Pythonなど他システムと組み合わせても良いので人数カウントができること
候補としてあがったのは以下3メーカーです。
検討の結果、3つの選定ポイントのすべてを満たすTapoを購入することにしました。
3メーカーのネットワークカメラ比較結果
ここからはそれぞれの機器の特徴を整理していきます。
まずは3メーカーのポイントを以下にまとめています。
Tapo | Qwatch | ATOM | |
---|---|---|---|
購入費 | 5,000円程度 | 10,000円程度 | 4000円程度 |
維持費 | 0円 | 0円 | 0円 |
人数カウント 標準搭載 | なし | なし | 600円 |
他システム連携 (RTSP) | 〇 | ◎ | △ |
上記のように、Tapoは比較的購入費が安価で、維持費がかからず、他システム連携ができることがポイントになります。
ここからは3メーカーの特徴を簡単にまとめていきます。
Tapoは中国深センにあるTP-Link社のネットワークカメラになります。
Tapoは先ほど述べた通り、購入費が5000円程度と安価で、維持費がかからず、ONVIF対応で他システム連携ができることがポイントです。
ONVIFとは、ネットワークカメラ機器とのやり取りを行うための標準的なインターフェースのことです。
ONVIF対応のカメラを選ぶことで、カメラ情報の設定や取得、ズームなどの制御、ストリーミング動画の取得などの機能を、共通のやり方で外部のアプリ・プログラムから利用できるようになります。
ONVIFはOpen Network Video Interface Forumの略になります。
特にONVIF規格の中のRTSP対応を重視していました。
RTSPとは、映像・音声のリアルタイムなストリーミング配信を制御する為のプロトコル(ルール)になります。
RTSP対応のカメラを選ぶことで、外部のアプリやプログラムからカメラのストリーミング動画・音声を取得できるようになります。
RTSPはReal Time Streaming Protocolの略になります。
Tapoは以下のURLの通り、公式ホームページがRTSPポートを開放していることをアナウンスしています。
ただし、RTSPポート開放していることをアナウンスしていますが、サポート外であるともアナウンスされているのでご注意ください。
ちなみにTapoには様々なカメラが販売されていますが、今回はC210というカメラを選びました。
まったく同じ形で旧機種となるC200というものもありますが、大きな違いは価格と解像度になります。
- C210の解像度は3M(2304×1296)で4500円程度
- C200の解像度は1080p(1920×1080)で3500円程度
将来的に細かな対象も見たくなるかもしれないと考え、今回はより高解像度なC210を選んでいます。
Qwatchは石川県にあるIO-DATAのネットワークカメラになります。
QwatchもTapoと同様ONVIF対応していることを公式にアナウンスしており、ONVIF以外にもIO-DATA独自のAPIを提供しているようです。Tapoよりもサポートは充実しているように見えます。
ただしどの製品も1万円以上からと高価であったため今回は選定しないこととしました。
どうしても日本企業が良い方やONVIFを正式サポートしていることを重視する方は選択肢になると思います。
AtomCamは神奈川県にあるアトムテック株式会社のネットワークカメラになります。
実は最初はAtomCamを選ぼうと考えていました。
というのもプログラムを組まずともカメラ自体にAI人数カウント機能が組み込まれていたからです。
ただしAI人数カウントサービスは月額600円かかることもあり、個人的にランニングコストはあまり好きでないことから採用は見送ることにしました。
またアトムテックの公式コミュニティ内で、RTSPに一度は対応したけれど現在は廃止されているようなコメントが出ており、公式のコメントもない状態でした。
AtomCamはAI人数カウントサービスはあるけれど、RTSPに公式としては非対応ということで拡張性が薄いと判断して、採用は見送ることにしました。
AI人数カウントサービスについて、公式サイトから読み切れなかった仕様をサポートメールで問い合わせをしました。
問い合わせを行ったのが22/8/23になりますので、以下の仕様はその時点のものになります。
- スマホアプリ内からのみの使用で、別システムから閲覧や使用することはできない。
- AI人数カウントサービスでは常に計測しカウントしているのではなく、決められた時間(5分や10分など)ごとにカメラから撮影された画像から「人」をカウントできる機能となる。
- 「人」以外の計測や日毎や時間毎などのカウントやグラフ化できない。
- AI人数カウントではスマホアプリへ通知を届ける機能はない。
特に最後の通知機能がないとなると、「混雑度に閾値を設けて異常があったときだけ知りたい」といったことができなくなるため、やはりAtomCamで進めていくのは難しいと判断しました。
ランニングコストが気にならず、通知機能もいらないということであれば、手軽に人数カウントまでができるAtomCamはおすすめな選択肢となります。
まとめ
今回は他システムとの連携が可能なネットワークカメラの選定を行いました。
RTSPに対応している製品を選ぶことで、カメラをPythonなどのプログラムと組み合わせて色々なことができるようになります。
ブログ内では組み合わせ事例も紹介していきますので、ぜひそちらもご覧になっていただければ幸いです。